児童虐待防止に関する指針
ひまわりくらぶ
1.虐待とは
子どもを守るべき保護者(親や親に代わる養育者)や児童福祉施設従事者が、 子どもの心や身体を傷つけ、健やかな成長や人格の形成に重大な影響を与える行為をいう。
児童虐待の定義(児童虐待防止法より引用)
Ⅰ 身体的虐待 児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること。
Ⅱ ネグレクト 子どもに対する適切な養育を親が放棄すること。例えば、食事を与えない、不潔なままにしておく、病気やけがの治療を受けさせない、乳児が泣いていても無視するなどの行為のこと。
Ⅲ 心理的虐待 児童に対し、大声や脅しなどで恐怖に陥れる、無視や拒否的な態度をとる、著しくきょうだい間差別をする、自尊心を傷つける言葉を繰り返し使って傷つけること。
Ⅳ 性的虐待 児童にわいせつな行為すること、またはさせること。 |
2.虐待における施設としての役割
児童虐待防止法第5条には、「児童福祉施設職員は児童虐待の早期発見に努めなければならない」と努力義務が課せられている。それを踏まえ、虐待やその兆しを発見しやすい立場にあることを自覚し、「虐待の早期発見」に努めなければならない。また、「虐待の発生予防」や「虐待が発生している家庭への援助」という役割も重要である。
①虐待の発生予防
・職員や保護者同士の交流を通じて育児不安を和らげる。
・専門家として、子育ての悩みについて助言・援助を行う。
・風通しの良い職場づくりを行うと共に、職員研修などを通して知識・技術の向上に努める。
・子ども一人ひとりの立場に立って考え行動する。
②虐待の早期発見
・心身ともに、子どもの様子・変化を見逃さないようにする。
・家庭との連携を行う。
・ヒヤリハットを活用した事例検討会を定期的に行う。
③虐待が発生している家庭への援助
・施設責任者を含む職員一同チームで対応する。
・信頼関係を保持しながら、関係機関と連携して援助する。
【子どもへの対応】
・子どもの味方であることを伝え、安心感をもたせる。
・気持ちや思いを充分に受け止め、愛されているという実感を持てるように関わる。
・自己達成感を通じて自信が持てるような機会をつくる。
・子どもの安全を最優先に考え、関わりや見守りの中でかすかな変化に気が付き、速やかに
関係機関に連絡する。
【保護者への対応】
・子育ての不安や悩みには、共に考え気づきを援助する。
・関係機関との連携を行いながら、一緒に考えていく。
3.虐待発見のポイント
次のような様子が複数見られたら、虐待の可能性を疑ってみる必要がある。子どもや親の様子・変化を注意深く見守ること。その際には具体的な情報を時系列に記録する。
◎子どもの様子
身体面
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・不自然な傷(あざ・やけど)がよく見られる
・治療していない傷がある ・身長や体重の発達が著しくよくない ・身体が非常に汚れている |
表情
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・人の顔色をうかがい、オドオドしたりビクビクした様子が見られる
・怯えた泣きかたをする ・保護者と離れると安心した表情になる |
行動
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・おやつや昼食をむさぼるように食べたり、人に隠して食べる
・警戒心が強い ・小動物をいじめる ・年齢不相応な性的な言動がみられる |
他者との関わり
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・保護者が迎えに来ても喜ばず、帰りたがらないことが多い
・保護者の前では従順になる ・職員を試したり、独占したがる、異常に甘える ・職員や子どもに対して乱暴、威圧的、攻撃的である ・職員や子どもとの身体接触を異常に怖がる |
生活の様子
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・衣服がいつも不潔である
・理由なく長期間欠席している |
◎保護者の様子
子どもとの関わり
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・態度や言葉が拒否的である
・叩いたり、怒鳴ったり、必要以上に厳しいしつけをしている ・子どもに対して冷淡・または無関心である ・子どもに能力以上のことを要求する ・食事を与えない ・子どものケガなどに対する説明や欠席の説明が不自然である |
生活の様子
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・地域に交流がなく孤立している
・夫婦間の暴力が認められる ・経済的に不安定である ・生活のリズムが乱れている |
保護者自身のこと
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・表情が硬い
・ひどく疲れている ・精神状態が不安定である ・連絡が取りづらい |
4.関係機関との連携のながれ
①虐待に気づいた人には、市町村へ通報の義務がある。施設としての早期の対応や支援が、虐待されている児童だけでなく、虐待している職員や保護者が抱える問題の解決に繋がるため、虐待の疑いがある時点で関係機関へ通報する。
②関係機関に電話連絡し、対応について協議する。(虐待でないと確認できるまでは虐待事案として対応する)
③情報を共有し、支援に関わっている関係機関全体でチームとなって対応していく。